PDFアクセシビリティチェック

PDFを選ぶと、ブラウザがそれをローカルで開き、スクリーンリーダーが頼りにする部分(タグツリー、テキストレイヤー、文書のプロパティ)を調べます。足りない点ごとに、どこで直せばよいかを示します。

ファイルはあなたの端末上でブラウザーが開きます。アップロードされず、当方が見ることもないので、非公開の文書も安心して確認できます。

PDFは「骨組みが任意の絵」です

ウェブページは構造から始まります。HTMLが「これは見出し、これはリスト」と伝え、描き方はブラウザが決めます。PDFはその逆です。中身の本体は描画命令の集まりで、「この座標にこの文字を置く」「そこにこの画像を描く」というものです。プリンターや人の目にはそれで十分です。しかし、どの文字が段落を作っているのか、どの段が先なのか、画像が何を表しているのかは、どこにも書かれていません。

そのためにPDFには、構造ツリー、または単にタグと呼ばれる、任意の第二のレイヤーがあります。HTMLによく似ていて、H1、P、リストのL、Table、代替テキスト付きのFigureなどがあります。各タグは、それが説明する描画内容を指しています。スクリーンリーダー、スマートフォンのビューアーのリフローモード、読み上げツールはこのタグをたどります。タグがないと描画順に頼るしかなく、2段組みのパンフレットでは段、キャプション、ページフッターの間を行き来してしまうことがよくあります。

ファイルで調べる項目

項目問題として報告する条件
保護暗号化により、コピーとアクセシビリティ用のテキスト抽出の両方が禁止されている
タグ構造ツリーがない、要素が3つ未満のツリー、またはロールマッピングのない標準外のタグ名
実テキストページの文字数が3文字未満:画像だけのページはスキャン、多数のベクターパスでできたページはアウトライン化された文字を示唆します
文字エンコーディング抽出した文字の5%超が対応付けのない記号で、Unicodeテーブルのないフォントの兆候
タイトル空である、ファイル名のように見える(「Report_v3.docx」)、またはあってもビューアーに表示する指定がない
言語文書の言語が宣言されていない
図タグ付きの図に代替テキストがない、またはそのテキストがファイル名や「image」のような単語
見出しと表見出しタグがない、H1がない、レベルの飛び。TH見出しセルのない表。タグに含まれていないクリック可能なリンク
フォームツールチップ(スクリーンリーダーが読み上げる名前)のないフィールド。XFAフォーム
フォント参照されているのに埋め込まれていないフォント

テキストとフォームフィールドは最初の500ページ、構造ツリーは最初の300ページ、画像とフォントは最初の60ページを読みます。

どの結果から手を付けるか

赤の結果は、読み手を完全に止めてしまいます。スキャンには読み上げるテキストがなく、タグのないファイルには順序がなく、ロックされたファイルは支援ソフトにテキストを渡さないことがあり、言語がないと音声エンジンがすべての単語を間違ったルールで発音します。何よりも先にこれらを直してください。

黄色の結果は、読めなくはしないものの読みにくくします。タイトルがないと、ウィンドウとスクリーンリーダーはファイル名を読み上げます。H1のない見出しや、レベルが飛んだ見出しでは、見出しによる移動があてになりません。見出しセルのない表は、数字の羅列として読まれます。

概要にファイルを作ったソフトの名前が出ていれば、そこから始めてください。元の文書を直して書き出し直すほうが、PDFを修正するよりほぼ必ず早く済みます。

元の文書で直す

Microsoft Word、PowerPoint
組み込みの見出しスタイルと本物のリストを使います。代替テキストは画像の右クリックメニューから追加します。タイトルはファイル › 情報で設定します。校閲 › アクセシビリティチェックを実行します。そのうえでファイル › 名前を付けて保存 › PDF › オプションで書き出し、「アクセシビリティ用のドキュメント構造タグ」にチェックを入れたままにします。印刷 › PDFとして保存は、タグを捨ててしまうので使わないでください。
Google Docs
見出しスタイルと代替テキストを付けてから、ファイル › ダウンロード › PDFドキュメント。結果はここで確認してください。タイトルと言語がまだ欠けていることが多く、PDFエディターでの作業が必要になります。
LibreOffice Writer
ファイル › PDFとしてエクスポートで「ユニバーサルアクセシビリティ(PDF/UA)」にチェックを入れます。これでタグ付けも有効になります。タイトルはファイル › プロパティ › 説明で設定します。
Adobe InDesign
段落スタイルを書き出しタグに対応付け、オブジェクト書き出しオプションで代替テキストを設定し、アーティクルパネルで内容の順序を決め、「タグ付きPDFを作成」をオンにし、表示タイトルを「文書のタイトル」にして書き出します。
Canva
画像に代替テキストを追加し、平坦化せずに「PDF(標準)」でダウンロードします。1〜2ページを超えるものは、PDFエディターで構造を仕上げる必要があると考えてください。
元ファイルがない、またはスキャン
Adobe Acrobat Proで、スキャンの場合はスキャンとOCR › テキスト認識、続いてアクセシビリティ › PDFに自動タグ付け、その後タグと読み上げ順序を手で修正します。タイトル、表示設定、言語はファイル › プロパティにあります。

人の手に残る仕事

このチェックは部品がそろっているかを確かめるものです。その出来が良いかどうかは判断できません。「グラフ」とだけ書かれた代替テキストも「あり」と数えます。順序の間違ったタグもタグであり、飾りの線に付いた見出しタグも見出しです。ページ内の色のコントラストは測っておらず、フォームフィールドの論理的なタブ順序も同様です。

ここで合格しても、PDF/UAやWCAGへの適合を証明するものではありません。法的な重みのある文書では、Acrobat Proの完全なチェッカーか無料のPACツールを実行し、スクリーンリーダーで数ページ聞いてみてください。

よくある質問

PDFはサーバーにアップロードされますか?

いいえ。ブラウザのタブで動くスクリプトがファイルを開き、お使いの端末上で分析します。ファイルについての情報は何も送られないので、機密文書も安心して確認できます。ご自身で確かめるには、ページの読み込み後にネットワークを切断してください。チェックはそのまま動きます。

PDFにタグが付いているかどうかはどうやってわかりますか?

ここにドロップして「タグ」の行を見てください。Adobe Acrobat Readerでも、ファイル › プロパティを開き、概要タブの下部で「タグ付きPDF:はい」を探せます。この行はタグがあることを示すだけで、正しいかどうかはわかりません。

「PDFに印刷」だとアクセシブルでないファイルになるのはなぜですか?

印刷では、紙のプリンターに送るのと同じ描画命令だけがPDFプリンタードライバーに渡ります。見出し、代替テキスト、言語、リンクは印刷ジョブに含まれないため、失われます。代わりにソフトの「エクスポート」や「PDFとして保存」を使ってください。

スキャンしたPDFをアクセシブルにできますか?

部分的にはできます。光学文字認識(OCR)でテキストレイヤーを加えれば、内容を読み上げたり検索したりでき、そのうえで自動タグ付けが構造を推測します。認識したテキストは校正が必要で、見出し、表、読み上げ順序はたいてい手で直すことになります。

PDF/UAとアクセシブルなPDFの違いは何ですか?

PDF/UA(ISO 14289)は、アクセシブルなPDFが備えるべきもの(完全なタグ付け、埋め込みフォント、表示されるタイトル、言語、図の代替テキスト)を定めた技術規格です。「アクセシブルなPDF」は日常的な言い方で、実際にはPDF/UAと関連するWCAGの基準を満たすファイルを指します。